【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」4月に食べたい寿司だね(後編)

連載第22回 4月に食べたい寿司だね

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest1&2を紹介します。

・第2位 ハマグリ

 

第2位はハマグリ。江戸前寿司ではハマグリに“含ませ”という伝統の技を施します。これは軽く茹でたハマグリを、その茹で汁に醤油、砂糖、味醂を加えて調味したつゆに漬け込み、ひと晩置いて味を含ませるというもの。手間がかかるのでやっている店は数少ないのですが、ハマグリについてはこの“含ませ”に勝る調理法はない

と思います。

その“含ませ”にする場合、使うのは身が柔らかい内湾性のハマグリに限ります。産地は有明海と東京湾。東京湾のハマグリは環境悪化によって絶滅の危機に瀕していたのですが、10数年前から稚貝を育てて放流するというプロジェクトが始まり、少しずつ根づいて、今は「江戸前はまぐり」というブランド名で市場に出回るようになっています。

その江戸前の中でも特に素晴らしいと思うのは船橋の三番瀬で獲れるもの。これはもう抜群に旨みが強い。身はふっくらしてジューシーで、まさに“含ませ”にするために生まれてきたようなハマグリです。もちろん吸い物にしても旨いし、パスタにしても旨い。僕はこれが日本一のハマグリだと確信しています。魚屋にあれば絶対に買うというくらいの大好物です。

そんなわけで本当は1位にしたいくらいなのですが、三番瀬のハマグリは流通している量が少ないからか、身が小粒で扱いにくいからか、使っている寿司屋がほとんどありません。もっとこの旨さに気づく寿司職人が出てきてほしいと思っています。

 

 

・第1位 毛ガニ

 

第1位は毛ガニ。毛ガニはズワイガニと人気を二分する、日本の美味なるカニの代表選手。それぞれにファンがいますし、どっちが旨いかを決めるのは本当に難しい、僕個人は、鍋で食べるならズワイガニ、茹でて食べるのなら毛ガニと思っています。

毛ガニは棲息範囲が広く、島根県以北の日本海や茨城県から東北にかけての太平洋でも獲れるそうです。でも市場で流通しているのは噴火湾、日高、釧路、根室と北海道産ばかり。それだけ北海道産の品質が高いということだと思いますが、僕が本当に旨いと思うのは網走や紋別などオホーツク海で獲れたもの。時期は流氷開けの4月ですね。ホタテ貝と一緒で、流氷の下でじっと動かずに冬を越した毛ガニは味が濃い。

毛ガニは浜茹でを使っている寿司屋が多いのですが、できるなら活けを買ってきて店で茹でた方が美味しいです。浜茹でだと塩味が強いものが混ざっていますし、今はオホーツクからでも空輸で新鮮なものが届きますからね。茹でたてはとにかく香りが違う。この香りがすごく食欲をそそります。

最近はほぐした毛ガニの身にカニ味噌を混ぜたものを握りにして出す店がありますが、これは抜群に旨い。軍艦巻や手巻きだと海苔で毛ガニの香りがわからなくなるので、握りが一番。それも赤酢より米酢の白いシャリの方がよく合います。

【次回に続く】 ※次回連載は4月1日を予定しています。

 

 

 

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