【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」4月に食べたい寿司だね(前編)

連載第21回 4月に食べたい寿司だね

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest3&4を紹介します。

・第4位 ホタテ貝

 

第4位はホタテ貝。これもかつては江戸前寿司であまり使わない寿司だねでした。同じように貝柱の大きい二枚貝としてはタイラ貝があったことと、東京湾でホタテ貝が獲れないことが理由ではないかと思います。でも生のホタテ貝の貝柱はタイラ貝に比べて柔らかく、シャリに馴染むことから、今はどこの寿司屋でも見かけるようになりました。

産地としては北海道、青森県、岩手県など東北以北の寒い海。でもその大部分は養殖されたものです。だからよほどこだわりのある寿司屋でない限り、養殖物を使うのが普通。生のホタテ貝は養殖と天然の味の差があまりなく、握りで食べて違いに気づく人もほとんどいません。

でもこれが火を通すとがらりと変わります。最近は煮ハマグリの技術を応用して、ホタテに煮汁を含ませる“煮ホタテ”にして出す店があるのですが、こうしてちょっとでも熱を加えると、養殖より天然の方がぐっと甘みが出てきます。

養殖物は産地による違いはほとんどありませんが、天然ホタテなら北海道野付産がベスト。漁期は例年12月から5月ですが、僕は4月がいいと思います。極寒のオホーツク海で冬を越したホタテ貝は貝柱の粒が大きく、とにかく甘みが強い。

それと天然ホタテは卵も美味しい。正確には生殖巣という部位で、白い色をしたのがオス、赤い色がメス。この赤の方はウニに似た甘みがあり、おつまみとして出す店も増えています。

 

 

・第3位 マコガレイ

 

第3位はマコガレイ。日本近海に40種類ほどいるカレイの類の中で最もポピュラーなもので、北海道から九州まで広い範囲に分布しています。江戸前寿司で単に“カレイ”と言えば、それはマコガレイのことを指します。

カレイの仲間では夏のホシガレイと秋のマツガワガレイが特に美味とされていて、マコガレイはちょっと地味な存在。でも僕は身が厚くてしっかり脂がのった旬のマコガレイは、この2つに決して負けないと思っています。ただし滅多に出会えない。それが第3位にした理由です。

ポピュラーな種類だけに産地も多すぎて絞れません。大分県日出の「城下ガレイ」とか富山県新湊の「万葉かれい」とか知られたブランドもあるのですが、これらが他の産地に比べて抜きん出ているというわけではない。結局、味を決めるのはコンディションということになります。

マコガレイの場合、活け締めと野締めでは全然味が違うし、時間が経つと身が弛むから鮮度も大事。東京の寿司屋で食べるのであれば千葉の富津や三浦半島、そして常磐で獲れるものの品質が安定していると思います。

その中のトップを挙げれば常磐産でしょうか。でもその常磐の極上品でも締めて2日以上経つと弛んで味もぼやけてしまったりする。熟成なんてもってのほかという感じで、本当に難しい魚です。逆にコンディションが良くてタイミングがぴったり合えば、どんな白身にも負けない。ギヤンブル性は高いけれど、毎回期待してしまう魚ではありますね。

 

 

 

【次回に続く】 ※次回連載は3月15日を予定しています。

 

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