【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」2月に食べたい寿司だね(後編)

連載第18回 2月に食べたい寿司だね【後編】

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest2&1を紹介します。

 

 

・第2位 コハダ

第2位はコハダ。あまり知られていませんが、コハダは出世魚で、夏のシンコからコハダ、ナカズミ、コノシロと成長と共に名前を変えます。つまり魚としての本当の名前は“コノシロ”で、コハダと呼ばれるのは体長7センチから10センチくらいのサイズ。それより大きくなると皮が厚くなり小骨が硬くなるため、握りには向かなくなります。

寿司屋には一年中あるので旬がわからないという人も多いと思いますが、コハダが本当に美味しいのは12月から2月。僕は厳冬期が一番だと思います。コハダはニシンの仲間で、ニシンと同じように冬に脂がのるからです。

旨いコハダの条件は皮が柔らかいこと。皮ごと食べる魚だからこれは必須です。ゆえに産地は有明海、瀬戸内海、三河湾、七尾湾、そして東京湾と波の穏やかな内湾に限られます。その中でも特に柔らかいのが有明海と東京湾のコハダ。どちらも海苔の養殖地ということもあって、昔から「海苔ひび(海苔を育てるための用具)の近くにいるコハダは旨い」と言われています。

コハダの酢締めについてはそれぞれの店に流儀があり、どのやり方が正解ということはないのですが、冬のコハダであれば締めた後に数日かけてじっくり寝かした方が酸味の角が取れ、深い味わいが出てきます。シャリとの相性も大事で、塩味がついているため辛いシャリは合いません。少し砂糖の入ったシャリで握るか、シャリとの間に甘いおぼろを挟むと旨さがぐっと引き立ちます。

 

 

・第1位 ズワイガニ

 

第1位はズワイガニ。これは賛否両論あるかもしれません。東京の寿司屋ではセイコガニ(メスのズワイガニ)をおつまみで出すくらいで、ズワイガニを握りにする店はほとんどないですし、そもそも寿司より鍋にした方が旨い食材ですからね。でも津軽海峡のマグロ漁が終わってしまった2月に「一番食べたいものは?」と聞かれて、僕が真っ先に思い浮かべるのはズワイガニです。

ズワイガニは産地によって呼び名が変わります。福井県の港に揚がるのは『越前ガニ』。石川県なら『加能ガニ』。山陰で獲れるのは『松葉ガニ』。そしてここ数年“幻のカニ”として食通の間で垂涎の的になっているのが『間人(たいざ)ガニ』。京都府の丹後半島にある間人港に水揚げされるズワイガニのことで、時には1パイ10万円以上の値段がつく超高級品として知られています。

ただ僕が食べてきた印象では、ズワイガニは個体差こそ大きいものの、産地による味の差はそれほどないと思っています。産地より重要なのは鮮度で、時間が経つと品質が劣化してしまうため、水揚げ直後の新鮮なうちに茹でる“浜茹で”が一番。活けで買って自分で

茹でるのはおすすめしません。

そんなわけで、東京の寿司屋ではベストの状態で食べることが難しい。なので極上のズワイガニを食べたいなら北陸や山陰に行くべきでしょうね。もし行くなら2月下旬がおすすめ。ズワイガニの相場は年末年始が最も高価で、漁期の終わりが近い2月下旬になると値段が落ち着くからです。

味については何も書くことはありません。まさに旨みの塊。脚の身だけでも旨いけど、ミソを乗せたらもっと旨い。軽く炙って香りを出したらさらに美味しくなります。

 

 

【次回に続く】 ※次回連載は2月1日を予定しています。

 

 

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