【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」2月に食べたい寿司だね(前編)

連載第17回 2月に食べたい寿司だね【前編】

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest3&4を紹介します。

・第4位 コバシラ

第4位はコバシラ。コバシラ(小柱)とはバカ貝という貝の貝柱のことです。貝柱以外の身はアオヤギ(青柳)と呼ばれ、こちらも江戸前寿司を代表する寿司だねのひとつ。同じ貝ではあっても微妙に風味が違って、コバシラは優しい甘み、アオヤギは花のような香りが魅力です。なのでコバシラとアオヤギのどちらを4位にするかで迷いましたが、寿司屋で食べる機会が多いコバシラを選ぶことにしました。

バカ貝には大小2つの貝柱があり、その大きい方だけを集めたものを“大星”、小さい方を“小星”と呼び、別々の商品として流通しています。大星の方が食感がよく海苔とも相性がいいので、軍艦巻にするのはだいたい大星です。

代表的な産地は千葉県富津、北海道の野付、愛知県の三河湾。千葉産は赤みが強く北海道産はやや黄色がかっていて見た目がかなり違うため、北海道のものを“エゾバカ貝”と呼んで区別する店もあります。どちらもそれぞれの良さがありますが、甘みが強いのは北海道。プリプリした食感も魅力的です。

市場では大星の中のさらに大きいものだけを選った“スペシャル大星”を売っています。これは100グラムあたり数千円もする高級品で甘みも食感も素晴らしい。滅多に食べられないものだけに、これを寿司屋で見つけた時は「スペシャルだ!」と、つい声を上げてしまいます。

 

・第3位 ヤリイカ

 

第3位はヤリイカ。上品な味で見た目も美しいイカですが、生のまま握りにするということはほとんどありません。江戸前寿司でヤリイカは調味したつゆで煮る“煮イカ”にして食べるのが基本。煮るといっても数分程度火を通すだけなので、ふっくらと柔らかく仕上がります。

老舗の寿司屋には煮イカの筒状の胴体にシャリを詰める“印籠詰め”にして出す所もあります。これは明治時代以前から作られていた伝統の寿司。刻んだガリ(生姜)とかんぴょう、もみ海苔を混ぜたシャリを使うため、香りも味もすごく華やか。日本酒にもよく合うので、これをつまみにして飲む人もいます。

ヤリイカは北海道から九州まで日本各地で水揚げされ、産地による味の差もあまりないのですが、強いて挙げれば青森の津軽海峡のヤリイカが旨いと思います。大間のマグロが食べているイカですね。旬は冬。冬は秋よりひと回り大きくなり肝も太くなるので、旨みが出てきます。

そして2月から3月にかけては卵をはらんだ“子持ちヤリイカ”が登場します。卵は少し加熱するととろりとした食感になり、まったりしたコクが出て、抜群に旨い。銀座の名店『鮨青木』では期間限定で“子持ちヤリイカの印籠詰め”を作るのですが、これは絶品。初めて食べる人は感動するのではないでしょうか。

 

 

【次回に続く】 ※次回連載は1月15日を予定しています。

 

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