外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?
来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!
【ONIGIRI】が流行っているドイツのお話
先日、ドイツのRadler (ビール50%、レモネード50%の飲み物)について書いたところ、「自宅で自分でRadlerを作る場合は『ビールを先』に注いだらよいのか?それとも『レモネードを先』に注いだらよいのか?」と質問をいただきました。
というわけでRadlerの混ぜ方の疑問に答えたいと思います!
美味しいRadlerの作り方は【混ぜ方】がポイント
ドイツのレストランやビアガーデンでは、最初にレモネードを注ぎ、その後にビールを注ぐことが多いです。それは、そのほうが美味しいから・・・・と言いたいところですが、実は違います。レストランなどでは、お客さんが多いので、最初にグラスにレモネードを注いだほうが泡が少なくなり、スムーズに注ぐことができるから、そのようにしているだけです。
実は【味】に関しては、逆のほうが美味しいです。というのも、先にビールを注いでからレモネードを注ぐと、両方がうまい具合に混ざるため甘さが楽しめます。ところがこの注ぎ方は、グラスに泡が出来過ぎてしまうため、「あわわわわ・・・(泡)」となりやすく(ダジャレすみません)、お客さんからビールやRadlerの注文が次から次へとジャンジャン入ってくるドイツのレストランでは、そんなことをやっている暇はないというわけです。
でもグラスにレモネードを先に注いでからビールを注いでしまうと、ビールがグラスの上の方に留まるため、せっかくレモネードと混ぜても「甘くない」のです。そのためドイツのお店で出るRadlerは飲んだ瞬間は「苦い」ことが多いのですね。
さて、自宅で美味しいRadlerを作るには…
グラスにまずビールを注いだ後、何秒か待ってください。
その後、グラスを斜めに持ち、ゆ~っくりとレモネードを注ぎます。
グラスがいっぱいになる前にグラスを縦に戻して・・・最後に「少しだけ」ビールを足します。
そうすると、泡もキレイにできて、Radlerの甘さも楽しめるしで、【味も見た目もパーフェクトなRadler】の出来上がりです。
「おにぎり」が【ONIGIRI】としてドイツに進出
さて、前置きが長くなりましたが、「おにぎり」の話でございます。
実はドイツでは今ONIGIRIブームです。
ドイツのReweなどの大衆的なスーパーでも「おにぎり」が買えるぐらいですから、これはちょっと凄いことですよ。
そして、ドイツには「おにぎり専門店」もあるのです。それがこちらReiseckです。Reisはドイツ語でお米、そしてEckはEckeから来ていて「角っこ」という意味です。
アボカドが具のAVOCADO ONIGIRIの包みに載っている説明は「これは日本のライス・スナックで、新鮮なアボカドが入っています。外側は、パリパリした海苔です。
ニッポンではおなじみの「おにぎり」の包み紙ですが、これもドイツの人にとっては新しいこと。だから、こんな風に外側の包み紙のはがし方 も丁寧に説明しています。
このReiseckはフランクフルトを中心に何店舗かあるのですが、なかなかオシャレな雰囲気。顧客ターゲットは「健康に気を遣うフットワークの軽い人」で、ONIGIRIは彼らが「仕事やレジャーの合間に気軽に食べることができるお洒落なスナック」なのです。ホームページにも「ライス・スナック」と記載されています。
実はこのReiseckはベジタリアンの人を中心に人気です。それもそのはず、ツナマヨなどが具のONIGIRIもあるのですが、どちらかというと具が「アボカド」だとか「しいたけ」などのベジタリアンやビーガンが食べられる具が多いのです。
おにぎりの「具」が「アボカド」や「しいたけ」だというのは日本人からすると面白いですよね。そのほかにも「胡麻風味の細かくしたピーナツ」など面白い具がたくさん。あ、一番ビックリしたのは週によっては「おいなりさん」の外側の油揚げが「具」として入っているおにぎりもあること!発想が面白いですね。
ドイツのおにぎりで面白いのは、その中に一部「酢飯」を使ったONIGIRIがあることです。ニッポンの感覚だと「おにぎりに酢飯?」と思いそうですが、ここはおにぎりだという発想から一度離れて、ONIGIRIという新しいジャンルのものだと思えばアリなんじゃないかな、と思います。酢飯を使ったおにぎりはいわば「寿司風おにぎり@ドイツ流」といったところでしょうか。
…次回もまたONIGIRIについて書きますね!
次回は10月中旬更新予定です。
過去のコラムへのリンクはこちらになります↓
第1回
第2回
第3回
第4回
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住22年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/ 著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「満員電車は観光地!?」(流水りんことの共著 / KKベストセラーズ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)など。
ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/