連載第42回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

 

夏は美味しく水分補給 その2

 

 

先日、ドイツでは夏に『生の豚肉』を食べることを書いたところ、多くの反響がありました。

SNSで色んな方からリプライやリアクションを戴いたのですが、面白かったのは、ある日本人がドイツに遊びに行った時のエピソード。ドイツのレストランでHackepeter(生の豚肉)を注文したら、ウエイトレスがそれを持ってくる時に喜々として「お待たせしましたー。こちらGerman Sushiです」と言ったというのです。それを聞いて「たしかにHackepeterはある意味『ドイツの寿司』なのかも」なんて思いました。

考えてみると、世界各地で寿司ブームが起きたおかげで、世界中でお寿司が食べられるようになりましたが、そこまでは長い道のりでした。昔のヨーロッパなどの西洋文化圏では「生の魚を食べるなんて・・・」とハードルはかなり高いものでした。

そして「豚肉を生で食べない」というのもまた世界の常識なわけで(もちろん日本でも!)、ハードルは高いのですね。そんななか、ドイツ人が「これはドイツのお寿司ですよ」と言いながら生の豚肉(Hackepeter)を日本人に出す、というのはなかなか面白い話だと思います(笑)

ビールと合うせいか、おやつ代わりにサクッと食べられるせいか、Hackepeterはドイツでは「夏」に食べるイメージです。日本で夏に食べるマダコのような感じ? …う~ん、肉と魚介類だとやっぱり比べるのに無理があるかも。まあ味として一番近いのは前にも書いたネギトロなんですけどね。

 

ドイツの夏の飲み物といえば…

 

ところで夏といえばやっぱり大事なのは、そう、「水分補給」です。特に最近のニッポン列島は尋常ではない暑さなので、マメに水分補給をし、糖質や塩分をとることも大事ですね。

それで塩分をとるというと、まさにお寿司がピッタリです。というのもお寿司はネタのほうにも塩分が含まれていますが、「酢飯」のほうも塩分がかなり含まれているのですね。ただ酢飯はその名の通り「酢」のイメージが強く、味としても酢の味を真っ先に感じるので、あまり塩分を感じないのですね。

 

 

その上、ネタに醤油をつけることを考えると、汗をあまりかかない冬場などは塩分が気になるところですが、今は外で少し歩くだけでも汗を大量にかきますので、「塩分摂取」がオッケーなのはちょっと嬉しいです。

お寿司をいただくと、〆に汁椀やお茶などの温かい飲み物をいただくこともあります。ではドイツの飲み物はというと、先日日本人の友達から「ドイツでは朝食の最後にウイスキーのショットグラスを飲むの??」と驚き気味に聞かれました。結論から言うと、確かに朝食の最後にウイスキーをショットグラスで「一杯だけ」飲むと消化がいいと言われていたりはします、が……夏は「お酒を飲んで水分補給をした気になってしまうのが危険」ですので、少量とはいえウイスキーショットは夏場は避けたほうがいいかもしれません。ドイツの夏も今年は暑いですしね。

ではドイツの夏には何が飲まれているのかというと、それはButtermilchです。直訳して「バターミルク」です。「え?夏にそんなコッテリしてそうなものを飲むの?」なんて声が聞こえてきそうですが、ちがうんです。バターミルクはバターの生成過程でできる液体ではありますが、低脂肪(脂肪分は1%以下)で高たんぱく質で消化にも良いのです。なのでいわばダイエット向きの飲み物ともいえますが、脱脂乳に乳酸菌を加えた発酵乳なので、健康的なのです。

 

 

そしてButtermilchが「夏場」に好んで飲まれている理由は、バターミルクが「飲んでスッキリする」味だからです。冷えていますし、味を加えていないプレーンで飲むと、「酸っぱい味」がしてこれがまた夏にはもってこいなのですね。梅干しの「酸っぱい」とはもちろん違うわけですが、私は「バターミルクを飲んでのスッキリ」は「梅干しを食べてのスッキリ」と似ているような気もします。

家で飲むのもよし、外を歩きながらButtermilchを飲んでいるドイツ人も多いです。ドイツのスーパーマーケットには必ず売っている商品なので気軽に買えます。

 

最後にやっぱりお酒の話

 

「夏の暑い時、水分をとった気になってお酒を飲むのは危険!」というのがほぼ口癖になっている私ですが、それでも最後にちょっとだけお酒の話をしちゃいます。

こちらレモネード(スプライト)とビールを割ったRadler(ラドラー)です。

これはビール(ピルスナー、もしくはへレスビール)とレモネードを1:1でミックスしたものです。スタンダードは1:1ですが、自分でミックスする場合は、お好みでビールを多めにしたり(笑)、もちろん逆にレモネードを多めにすることもできます。ちなみにレストランでも、市販のRadlerを切らしている場合は、店員さんが自分でレモネードとビールを混ぜてRadlerを作っている場合があります。

私は実はビールよりもRadlerが好きだったりします。ちなみにRadlerは半分がレモネードということで「女性のドリンク」だとも言われています。なので、年配でちょっと保守的な感じのドイツの男性は、「私はRadlerが好きです」という女性の発言を聞くと嬉しそうな顔をします(笑)

ちなみにパッと見てビールとRadlerは変わりないようにも見えますが、Radlerのほうが「色が明るめ」です。

Radlerの元々の意味は「自転車に乗る人」です。それがなぜ、飲み物をRadlerと呼ぶようになったのかというと諸説ありますが、こんなエピソードがあります。今から約100年前の1920年代のミュンヘンで、多くの人がサイクリングに出かけました。サイクリングの途中で、彼らはミュンヘンの南にある休憩所(食堂)でひと休みをし全員がビールを頼みました。すると、ビールが手薄になったお店側が、ビールにレモネードを混ぜてお客さんに出したところ、これが大好評で、それ以来その飲み物はサイクリングをする人たちからRadlerと呼ばれるようになったのでした。

・・・夏に飲むと最高に美味しいRadlerのご紹介でした。魚には残念ながら合いませんが、先日トンカツ巻き寿司とともにRadlerを飲んだら極上でした。

 

 

暑い日がまだまだ続きそうですが、みなさん水分補給をして、塩分もとって…また来月お会いしましょう。

 

次回は9月中旬更新予定です。

 

 

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サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住22年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/ 著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「満員電車は観光地!?」(流水りんことの共著 / KKベストセラーズ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)など。

ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/

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