【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」8月に食べたい寿司だね(後編)

連載第6回 8月に食べたい寿司だね

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest4を紹介。今回はBest2&1の発表です♪

・第2位 イワシ(マイワシ)

 

第2位はイワシ。イワシは一般的に体長20センチ以上のものを大羽、15〜20センチのものを中羽、それより小さいものを小羽と呼ぶのですが、僕が好きなのは小羽です。大羽、中羽は脂がのり過ぎていたり身が柔らかすぎたりして、夏の魚らしいフレッシュな味わいが足りない感じがします。

産地も大事です。沖縄以外のほぼ全国で獲れる魚ですが、関東や東北より関西や瀬戸内海、紀州の方が脂ののりがほどよく、爽やかな味がします。ブランドとして評価が高いのは大阪湾の“岸和田イワシ”。でも品質が安定しているのは三重の尾鷲から愛知の豊浜あたりのイワシではないでしょうか。

関東では梅雨どきのイワシを“入梅鰯”と呼んで好んで使いますが、僕は真夏の方が旨いと思います。黒潮を北上するイワシが最も活発な時期で、脂肪と筋肉のバランスがよく、身が締まっていて食感もいいからです。

江戸前寿司ではイワシのクセを取るために軽く酢にくぐらせてから握ります。でも鮮度のいい小羽イワシであればそのまま握った方が旨い。あんなに小さな魚なのに脂はしっかり甘いし、血合いはコクがあるし、後味のほのかな苦みもいい。この苦みと日本酒が合うんですよね。アジも美味しいけど、夏の光り物の代表はやっぱりイワシだなあとつくづく思います。

 

・第1位 ウニ

 

第1位はウニ。断トツの1位です。とはいえウニが夏の季節商品と言われていたのは20年くらい前までの話。今は冬でも春でも全国から旨いウニが入ってくるので、8月の1位と言ってもピンとこないという人も多いのではないでしょうか。

実は夏だけしか食べられない最高クラスのウニがあるんです。有名なのはウニの最高峰とも言われる北海道利尻島のエゾバフンウニですが、それを凌駕する逸品だと思うのは兵庫県淡路島由良で獲れる“由良の赤ウニ”。これは長らく関西の限られた店でしか食べられない“幻のウニ”でした。それが6、7年前から東京の寿司屋でも取り寄せて使うところが出てきました。

ウニは昆布が主食なので利尻のウニなら利尻昆布、羅臼のウニなら羅臼昆布の味がすると言われています。でも淡路島の由良は海草類の多様性が高いことで知られていて、赤ウニもいろんな種類の海藻を食べているから、他の産地とはまったく違う味がします。旨みも甘みも上品で奥深く、口どけも素晴らしい。舌に乗せると淡雪のように一瞬で消え、極上の旨みだけが残ります。何度食べても不思議なのはライムのような柑橘系の香りがすることで、これも由良のウニだけの特徴です。

漁期は7月中旬から9月下旬までの2ヶ月余り。ただし安定して入荷があるのは8月の間だけです。その繊細な味と香りを楽しむために、海苔を使わずそのまま握ってもらうことをおすすめします。四谷荒木町『鮨わたなべ』では由良のウニが入荷すると、産地の異なる四種類のウニを小さな丼に盛りつける“四種盛り”の中に入れて出してくれますが、これなら他のウニとの比較もできますし、最高に贅沢な食べ方だと思います。

 

 

【次回からは9月に食べたい寿司です】 ※次回掲載は8月1日を予定しています。

 

 

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