【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」8月に食べたい寿司だね(前編)

話題沸騰の連載コラム第5回!

寿司マスター☆早川光の「お楽しみは、来月!!」。

ホンモノの寿司通は、いったいどんな寿司だねを楽しみにして日々過ごしているのか?

今回は早川光が8月に食べたい寿司だねBest4&3を発表しちゃいます。

来月が来るのが待ち遠しいね~!

連載第5回 8月に食べたい寿司だね

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest4を前&後編で紹介します。

・第4位 マゴチ

第4位はマゴチ。それほど馴染みがない名前かもしれません。マゴチはカサゴ目コチ科の魚で、コチの仲間の中では大型の種類。頭が大きく尾が細く扁平な形で見た目はあまりよくないのですが、もっちりした食感で旨みが強く、美味しい白身魚です。

旬は春から夏で、寿司屋には4月あたりから登場します。それなのになぜ8月なのかと言うと、とびきり旨いマゴチが8月に東京湾で獲れるから。その名は“照りゴチ”。じりじりと太陽が照りつける真夏のマゴチということでそう呼ばれています。

猛暑で東京湾にプランクトンが増え、それを餌にする小魚が集まり、小魚を食べるマゴチが活発になる‥というのが照りゴチが旨い理由と言われていますが、本当のところはよくわかっていません。でも春のマゴチに比べて格段に身が太り、脂がのっています。

マゴチは釣った後の手当て(処理)が大事。活け締めと野締めではまったく味が違います。ベストなのは釣ったその場で神経締めにしたもので、これを数日寝かすとぐっと味が出てきます。上手に寝かすとトラフグに匹敵する旨みがあることから、関西ではマゴチに“テッサナミ(フグ並み)”という異名がついているほど。

ただ残念なことにマゴチを使う寿司職人は少数派です。捌くのに手間がかかる魚ですし、小さな店だと一尾買ってもなかなか使い切れないのかもしれませんが、8月の白身としてはスズキやフッコより味も食感も上だと思いますから、もっともっと握る店が増えてくれたらと願っています。

 

・第3位 マダコ

第3位はマダコ。イイダコ、ヤナギダコ、ミズダコ、数ある食用のタコの中で最も旨く握りに合うのはマダコです。産地としては兵庫県明石と神奈川県佐島が有名で、西の横綱、東の横綱と呼ばれています。この明石と佐島はタイ(マダイ)の名産地でもあるのですが、これはタコもタイも同じ餌、エビやカニ、貝類を好んで食べるからと言われています。まったく違う生き物なのに好物が一緒というのも面白いですよね。

明石も佐島も旬は6月から8月。当たり外れが少ないのは8月です。マダコは味の個体差があり旬だから旨いとは限らないのですが、この時期は漁の最盛期で市場にたくさん入ってくるので、寿司職人が品物を選びやすいというのも大きいと思います。

江戸前寿司ではマダコは“煮ダコ”にするのが基本です。煮る時間や火加減も大切だけど、味の分かれ目は下処理。ぬめりを取るために塩揉みにすると皮か破れたり塩味がついてしまうので、そのまま揉むのですが、これがかなりな重労働。かといって手抜きをすると臭みや雑味が出ますから、丁寧さと辛抱強さが必要とされます。つまり真面目な職人の煮ダコほど美味しいのです。

煮ダコは大きく分けて、弾力を残してプリプリの食感にしたものと、ゼラチン質を生かしてトロトロに仕上げたものの2タイプあります。どちらも旨いのですが、僕が好きなのは後者。その中でも銀座『鎌倉以ず美ginza』の煮ダコはまさに唯一無二の味。信じられないくらい柔らかく、ゼラチン質は旨みたっぷり。噛めば芳ばしい香りが口いっぱいに広がります。大げさでなく、食べるとそれまでのタコの概念が変わります。

 

【次回に続く】 ※次回連載は7月15日を予定しています。

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