【大好評☆連載コラム】早川光の「お楽しみは、来月!!」7月に食べたい寿司だね(後編)

話題沸騰の連載コラム第4回!

寿司マスター☆早川光の「お楽しみは、来月!!」。

ホンモノの寿司通は、いったいどんな寿司だねを楽しみにして日々過ごしているのか?

今回は早川光が7月に食べたい寿司だねBest1&2を発表しちゃいます。

来月が来るのが待ち遠しいね~!

連載第4回 7月に食べたい寿司だね(後編)

江戸前寿司には、その月に旬のピークを迎えるもの、あるいは漁期などの理由でその月にしか食べられないものなど、期間限定の寿司だねがあります。

述べ3.000軒の寿司を食べてきた早川光が、来月にどうしても食べたい、とっておきの寿司だねBest4を紹介します。

・第2位 キジハタ

 

第2位はキジハタ。これはシマアジとどちらを上にするかで迷いました。シマアジは脂が甘く、キジハタは身が甘い。味の方向性は違うけど、美味しさという点では甲乙つけ難いものがあります。

ただ、どちらも寿司屋にあるとして「食べたいのはどっち?」と聞かれたら、キジハタを選びます。キジハタは東京ではなかなか食べられない寿司だねなので。

そう、関東ではあまり知られていませんが、関西でキジハタは“アコウ”と呼ばれ、トップクラスの高級魚です。とりわけ大阪では冬のトラフグと並び称される、夏の白身魚の代表。なので漁港に揚がると大阪の料亭に直行してしまうため、豊洲市場にはほとんど入ってこないのです。

僕は20年ほど前に大阪の『福喜鮨』で初めてキジハタを食べて、本当にびっくりしました。もちもちした食感はマハタやクエに似ていますが、旨みが全然違う。噛まなくても舌に乗せただけで旨みが融け出してくる感じです。そして噛み締めると今度は強い甘みが出てきます。この甘み、表現するのが難しいのですが、喩えるなら伊勢海老の刺身に似ています。キジハタは岩礁域に棲む魚なので、もしかすると伊勢海老を食べているのかもしれません。

産地は瀬戸内海か日本海。北陸の金沢や能登ではキジハタを“ナメラバチメ”と呼んでいて、町の寿司屋でも出てきます。東北や相模湾あたりでも獲れると聞きますが数が少なく、東京の寿司屋で握ることは滅多にありませんが、もし見つけたら迷わず食べてほしいです。キジハタはすごくいいダシが出るので、アラ汁も作ってもらったらさらに感動すると思います。

 

・第1位 アワビ

 

第1位はアワビ。文句なしの1位です。アワビは寿司屋に通年置いているし、旬は種類や産地によっても違うのですが、魚河岸で一番の評価を受ける房州(千葉県)のアワビが旨いのは夏。秋の産卵期に備えて身が厚くなり肝も大きくなるからです。

江戸前寿司で夏に使うのはクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビの3種類。どれもそれぞれの良さがありますが、ダントツに旨いのはマダカアワビ。これはもう別格です。ただしほんのわずかしか漁獲がなく、1キロ超の大物は驚くような高値で取り引きされているので、食べるのはキジハタ以上に難しいかもしれません。

アワビは生のままではコリコリしてシャリに合わないので、江戸前寿司では味つけしたつゆで煮る“煮貝”にして握るのがスタンダードでした。しかし今は柔らかく仕上げるため、時間をかけて“蒸しアワビ”にするのが主流です。

この蒸しアワビを極めたのが、石川県野々市にある『すし処めくみ』。ここではアワビをなんと7時間もかけて蒸し上げます(蒸す時間はアワビの大きさや状態によって微調整します)。これは大学の研究論文などを参考に試行錯誤を重ねて辿り着いた手法で、長時間蒸すことでアワビに含まれるコラーゲンがグルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸などの旨み物質に変化し、格段に美味しくなるというのがその理屈です。親方はアワビを数ミリの厚さに薄く切りつけ三枚から五枚重ねにして握るのですが、これがまさに旨みの塊。噛めば旨みが溢れ出し、波のように舌に押し寄せてきます。

一方で僕は “煮貝”も大好きなのですが、クラシックな煮貝を握る店は銀座『二葉鮨』など数軒の老舗だけになってしまいました。煮貝はただ煮るのではなく、旨みのとけ出した煮汁の中で味を含ませる技法。だから蒸しアワビとは違う美味しさがあります。特に肝は蒸すより煮た方が旨い。厚めに切った煮貝に肝を乗せ、煮ツメをたっぷりつけて食べるのなんて堪らない‥と、書いているだけで涎が出てきてしまいました。

【次回からは8月に食べたい寿司です】 ※次回掲載は7月1日を予定しています。

 

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㐂寿司