【『寿司ペディアTOKYO』発売記念Special】早川光☆初めての寿司屋心得《中編》

初めて寿司屋に行く時の心得《中編》

 

江戸前寿司の名店、人気店に行ってみたいけれど、なかなか勇気が出ないという人は多いのではないでしょうか。

難しい作法や決まり事がありそうで緊張する。知識がないと恥をかきそうで怖い。メニューを置いていない店の場合、どうやって注文したらいいのかわからない‥‥。

そんな不安を抱く人のために、初めて寿司屋に行く時の心得をわかりやすく解説いたします。

◇注文はとても簡単

 

電話予約の時に『おまかせ』を頼んでおけば、注文はとても簡単です。席についてひと息ついたら、寿司職人が「お嫌いなものはありますか?」と尋ねてきます。そこで例えば「タコが苦手」と言えば、タコ以外の寿司だねを握ってくれます。「ワサビを抜いて」と伝えれば抜いてくれます。後はただ座っているだけです。

『おまかせ』のない店では、食べたいものを自分から伝える『お好み』で注文することになりますが、この場合もさほど難しくはありません。「最初は白身?それとも光り物?」などと食べる順番で悩む人もいますが、決められたルールはないので、基本的には好きなものを好きなように注文して大丈夫です。

ひとつ気をつけたいのは「おすすめは何ですか?」と聞かないこと。寿司屋は吟味してその日の魚を選んでいるので「全部おすすめです」と素っ気ない返事がかえってきたりします。

もし魚の名前がわからない時は恥ずかしがらずに聞きましょう。ガラスケースのある店なら、魚を指差して「これ」と言って頼んでも不作法ではありません。

飲み物については『おまかせ』に含まれていないので、メニューを見て注文します。メニューがない店でも質問すればちゃんと説明してくれます。最近はビール、日本酒に加えてワインや焼酎も揃えている店が増えていますし、専門のソムリエを置いている店もありますから、お酒の好みを伝えて選んでもらうというのも賢いやり方です。

 

◇手、箸、どちらで食べる?

 

握りを手で食べるか箸で食べるかは気になるところ。手で食べる方が粋という人もいれば、箸で食べる方が上品という人もいるからです。でも実際のところ、これはどちらでもOK。寿司職人はその客が手を使うか箸を使うかを見て握りの固さを調整しますから、食べる側が迷う必要はないのです。

江戸前寿司では握りに『煮切り』をハケで塗って出すのが伝統のスタイル。自分で醤油をつける必要がないので、手でも箸でも簡単に食べることができます。

この『煮切り』はただの醤油ではなく、醤油に日本酒、味醂、ダシなどを加え、鍋でひと煮立ちさせたもの。味はまろやかで握りに合うように調味されています。

そしてアナゴや煮ハマグリにつける甘いタレを『煮ツメ』と言います。こちらはアナゴなどの煮汁に日本酒と砂糖を加え、とろ火で煮詰めて作ります。

手で食べて煮切りや煮ツメが指についた時は、おしぽりか専用のお手拭きで拭きます。おしぼりが汚れたら、すぐに交換してもらいましょう。

 

◇香水とスマホのマナーに注意

 

よほどの高級店でない限り寿司屋にドレスコードはありません。常識の範囲であれば軽装でも大丈夫です。ひとつ気をつけたいのは香水のつけすぎ。特にカウンター席では他の客と隣り合って食べますから、香水の匂いが強い人はカウンターに座るのを断られる場合があります。

そして最近問題になっているのがスマホのマナー。SNSに載せるためスマホで写真を撮る人が増えていますが、寿司屋の中には写真撮影NGの店もあります。必ず「撮ってもいいですか?」と確認するようにしましょう。またシャッター音や着信音が周囲の迷惑にならないように音量を小さくするかマナーモードにしておくことも忘れずに。

高級店のカウンターは傷つきやすい無垢の木材で造られている場合があります。こういう店では時計や指輪を外して食べることをおすすめします。カウンターの上でボールペンでメモ書きをしたりするのは一番嫌われる行為ですので要注意。

 

《後編に続く》