NEW 連載第30回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

 

今が旬の【ウニ】~ウニ食べ比べ体験記その2~

 

先日【ウニの食べ比べ】を体験してきました。その様子をSNSにアップしたところ、「ドイツでウニは食べるんですか?」というごもっともな質問をいただきました。それで結論から申し上げますと、ドイツでウニを食べることが全く不可能ではないかもしれませんが、限りなく不可能に近いと思います(笑)私自身はドイツでウニをいただいたことはありませんし、売られているのを見たこともありません。ドイツは北の一部をのぞいては海がないので、やっぱり海産物にあまりなじみがないのと、ウニはその中でも未知でエキゾチックなものなのですね。

 

しかしやっぱり気になるので、ネットでドイツ語で調べていたら、ウニについてドイツ語で書かれたWikipediaがありました。ドイツ語で題名として”Uni (Lebensmittel)”と書かれていますが、これは日本語に訳すと、「ウニ(食品)」です。な、なんだか、と~っても大雑把なくくりですねえ。せめて海産物だとか魚介類だとか、寿司ネタを連想させる題名にしてくれればよいのに、「食品」という大雑把なくくりでございます。このWikipediaドイツ語版には、海鮮丼にウニが載った写真は掲載されているものの、下のような「ウニ本来」の写真はまだ載っていませんでした。

 

そんなこんなでドイツ版Wikipediaにはウニに関する詳細はあまり載っていなかったのですが、面白かったのは、その少ない情報の中に「ウニは日本で高級食材であること」とともに、「日本でもウニは好き嫌いが分かれる」ということが長めに説明されていたことです。ただ先日、ウニの食べ比べをした者といたしましては、ウニが嫌いな人はもしかしたら単にミョウバンの渋みや苦い味が嫌いなだけなのかも・・・なんて想像してしまいます。

 

ところで、先日「ぽあろ」にお邪魔した時に、店長さんに「ウニ丼についてどう思いますか?」聞いてみました。そうしましたら、少しばかり複雑そうな表情をされていました。やはり食のプロの方からすると、「形ばかりがよく見映えはするけど、ミョウバンにつかっているウニ」ということに対してやっぱり複雑な気持ちがあるようなのです。ウニは水分が多く形が崩れやすいので、形を保つために食品添加物として「ミョウバン」が使用されていることが一般では多く、ウニが溶けないために、ウニ丼にもほとんどの場合、ミョウバンが使われているのだとか。

 

そして、ミョウバンにつけたウニはミョウバンによる苦みや渋みはありますが、しょっぱさがないので、「みなさん、やっぱり醤油をかけたがるんです」と店長さんは言います。確かにウニ丼というと横に醤油がついていたような。。でも(ミョウバンにつかっていない)自然なままの新鮮なウニは甘みがあったり塩みがあったりで、「醤油」をつける必要は全くないんだそうです。なるほど、そういえばウニの食べ比べをしたとき、醤油は全く使わずおいしくいただけました。・・・いえ、逆です。海の旨味を纏った「ウニそのもの」の味を楽しめたからこそ、醤油は使わなくてよかったのでした。

 

そんなわけでやっぱり店長さんとしても、「ウニ」というと即「醤油をつけなきゃ」と思い込んでしまっている人が多いことをちょっぴり苦々しく思っていらっしゃるようでした。ただし、ウニ本来の味を保つために塩水につけると、ウニ本来の味が楽しめ、醤油も必要ありませんが、「見映え」に関しては、やはり塩水だとウニの形が崩れてしまうので、「インスタ向き」ではないかもしれません。

ウニの賞味期限について尋ねたら「冷蔵庫に入れて3日」とのことでした。私自身はウニを買って自宅で保存したことはないのですが、今後そういうグルメな日々がやってくるのかもしれません(笑)

 

このコラムの最初のほうでドイツの「ウニ事情」(?)について書きましたが、ドイツ語でウニはSeeigel-Eier(ゼーイーゲル アイヤー)といいます。ただし、これをドイツ人に言ってももしかしたら分からないかもしれません。なにしろドイツ版Wikipediaのタイトルにも「ウニは食べ物です」という説明しか書いていないのですから(笑)以前にも書きましたが、こんなふうに食材の名前を多言語に訳すことはできても、結局現地の人になじみのない食材だと、名前を聞いても「???」となってしまい、結局は訳したところで「未知の世界の食べ物」のままなのですね。

 

ところで、桜木町の「ぽあろ」には何年かに一度日本で公演活動を行うドイツの音楽家も食べにきていると店長さんが教えてくれました。最初に店を訪れた時は「日本人の紹介」だったそうですが、その後、日本を訪れるたび、忘れずにここの味を求めてやって来てくれるのだそう。いわば国をまたいだ「常連さん」ですね。なんだかいい話。

 

・・・・いつだったか「ドイツ人はグルメではない」とか言っていた私、反省です。

 

 

※次回は9月中旬に更新予定です。

 

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サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住21年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/