連載第29回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

 

夢にまで見た【ウニの食べ比べ】初体験

 

「ウニの食べ比べがしてみたい」とずっと思っていました。一人で行くには敷居が高いけど、でも行ってみたい・・・と思っていたところ、念願かなってお友達が連れて行ってくれることに。

 

念じてみるものですね。というわけで、8月上旬のめっちゃ暑い日(滝川クリステルさんが自民党政治家との結婚を発表してマスコミが大騒ぎになっていた日)に女3人で桜木町の名店「ぽあろ」にお邪魔しました。

 

「女3人」をザッと紹介すると、サンドラの友達の敏腕編集者の女性と、そのまた友達の入江亮子さん。入江さんは料理研究家で、「お茶を楽しむ 茶事の懐石料理がホントに一人で作れる本」などの本を出されている【食】のスペシャリストです。ひゃあ。恐れ多いです。ここ桜木町は入江さんの地元とのこと。桜木町は野毛には居酒屋・バー・和食屋さんなど600軒以上が密集しているのだとか。目的のお店「ぽあろ」に向かう途中にはあの樹木希林さんの実家だという居酒屋さんの前を通りました。

 

「ぽあろ」に入ると、女3人カウンター席に通されました。お二人の配慮で、誰の話もよく聞けるようにと、私サンドラは真ん中の席です。あまり飲むと「食」の説明の記憶が曖昧になってしまいますが・・・緊張がほぐれるようにとお酒もいただいてしまいました。こちらはドイツの白ワイン「ケルナー」です。私がドイツ人ということ店長さんが気を利かせてくれたに違いありません。

 

こちら、ラム肉のたたきでございます。私はラムを生でいただくのは生まれて初めて。ラム肉って「焼く」だけではないんですね。今まで人生で損していたかも。

 

ここ「ぽあろ」は野毛にいながら北海道を満喫できるお店です。このラム肉はもちろん、お魚やお野菜ももちろん北海道産にこだわっています。・・・とお店に入って真っ先に注文した「塩水雲丹 産地別 三種盛」(夏季限定)の登場です!夢にまで見た「ウニ食べ比べ」がようやくできるこの瞬間を永久保存したいです(笑)

手前から、「函館産のウニ」、左が「羽幌産のウニ」、そして右が「余市産のウニ」です。

 

スプーンとお箸の『使い分け』

 

まずは手前の「函館産」を口に運んでみます。

うん?なんだか今まで食べたウニよりしょっぱいような。とここで店長さんが丁寧に説明してくださいました。「スプーンで食べると塩水もすくってしまうので、よりしょっぱく感じます。お箸で食べるとまた、少し違いますよ」と。なるほど!確かに私はスプーンで食べていました。

 

再度お箸で同じものを食べてみると、確かに味が違います。これはもうその時々の好みでスプーンでいただいたり、お箸で頂いたりと使い分けたほうがよさそうです。例えばお酒をいただいた直後にはスプーンでいただくとか。あくまでも私サンドラの感想ですが。

 

もちろん今まで食べたウニよりしょっぱいのは「スプーン」のせいばかりではありません。「ぽあろ」では新鮮なウニを出してくれているので、一般で流通しているウニによく使われる保存用の「ミョウバン」が一切使われておらず、ウニは「塩水」につかっているのです。塩水につかったウニは形が崩れるので「見映え」こそ悪くなりますが、ウニ本来の味が保たれるというわけです。

 

続けて「羽幌産」を口に運んでみます。

 

こちらは味はしっかりしているものの塩分はそう高くないように感じました。もしかしたらいただいた「順番」も関係してそう感じただけなのかもしれませんが・・・。こちらお箸でヒュッといただきました。絶妙です。

 

そして最後は「余市産」にトライ。

 

こちらは塩味がきいていて味もしっかり。話しているなかで、誰からか「この「余市産」の味が一般では一番好まれるかもね」なんて意見が出ました。

 

さて3種類食べ比べて、どれが一番好きかと聞かれると・・・これが本当に難しいのです。人間、特に私のような素人は、順番として「一番最初に戴いたもの」が印象に残るので、「函館産」が印象に残りがちだけど、インパクトがあったのは「余市産」かな・・・なんて考えながら・・・でも決めました!「羽幌産」が一番好きです。念のために(?)お酒を飲んでから「羽幌産」の味を再確認して納得。今まで生きてきた私の短いウニ人生の中で、今日いただいた「羽幌産」が一番好きです!

 

それにしても、43歳にしてこんなにおいしいものに出会うなんて、うれしい反面、なぜもっと早くに出会っていなかったのかとなんだか損した気分。上の「たたき」でも同じことを言っていたので、考えてみればこれは「本日の損したその2」ですね(笑)

 

ところで同じ種類や同じ産地のウニをいただいても、毎回味は違うんですって。それはもちろん食べている本人の「人間側のコンディション」が毎回違うということとも関係していますが、ウニの「コンディション」もまた(たとえ同じ産地のウニであっても)毎回違うのだそう。ウニは海藻を食べますが、ウニの味は海流によって変わるのだそう。「海が荒いか・穏やかか」によって変わるのですね。目からウロコです。さらに「運動をしないウニ」は脂っこいのだとか。店長さんが「いわばフォアグラのウニ版のようなものですね」と話しながら笑いました。

 

なので、今晩出会えたウニにはもう二度と出会うことができないかもしれません。だって今度は私「人間側」の体調も今日とは違いますし、「ウニ側」も今度は海流が違うかもしれませんし、“運動をしないウニさん”かもしれませんしね。または逆に“スポーティーなよく動くウニ”かもしれませんし(笑)お酒も手伝って冗談が過ぎましたが、ウニと人間の出会いも【一期一会】なのでした。

 

※次回は8月下旬に更新予定です。

 

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サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住21年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/