連載第26回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

 

「チップ文化」VS 「お通し文化」

 

日本と外国の「食」を語るとき、食材や調理法だけではなく、お食事の文化やマナー、習慣の違いも浮き彫りになります。

 

たとえば最近よく話題に上がっているのが「お通し」。

 

日本の居酒屋や一部のお寿司屋さんには「お通し」が出てきますが、残念なことに外国人観光客がこの「お通し」を不満に思うことが少なくないようです。

「頼んでいないものが、なぜ出てくるのかわからない」という声もあれば、「お通し」が出てきた時は普通に食べたけれど、会計の段階になって「お通し代」がチャージされているのを見て「頼んでいないものが、チャージされている」と怒る人も。

 

しかし。「お通し」はニッポンの文化なのですよ。お客様のオーダーがお店に「通った」しるしでもありますし、そして実は理にかなっているとも思います。席についたお客さんが料理を頼んでも、料理が出てくるまでは時間がかかるので、いわばお通しは「間を取り持つ」役割もありますし、「まずはビールで乾杯!」とやる時は「すきっ腹にビール」でもいいですけれど、「お通しをいただきながらのビール」のほうがやっぱり健康的な気がします。

 

私もよくドイツ人から「お通しのシステムはおかしい」と言われますが、いつも「チップだと思えばいいじゃない?」と反論しています(笑)

 

欧米の「チップ文化」

 

というのも、ドイツのチップに関しても、ニッポンのお通しと同じで、事前に何らかの「説明」があるわけではありません。そこは「暗黙の了解」でお客さんはお店の人にチップを払うことになっているわけです。サービスが悪ければチップを払わないという方法ももちろんありますが、それはあまりスマートなやり方ではありません。チップの金額の目安は全体の値段の5%から10%の間だとされていますが、実はそんなにきっちりと計算する必要はなく、「区切りの良い数字」を目指せば大丈夫です。たとえば会計時にウエーターに「28ユーロです」といわれたら、キリのよい「30ユーロ」を渡し、「お釣りはいらないですよ」というのがエレガントです。

 

ところで、ニッポンにはチップの習慣がないので、私はそれに慣れてしまい、3年ぐらい前にグアムでタクシーに乗った際にうっかりチップを渡し忘れてしまいました。運転手さんは走行中に私に日本語で語りかけとても愛想がよかったのですが、降りてチップを渡し忘れた瞬間の運転手さんの拍子抜けしたような、がっかりしたような、呆れた表情が忘れられません(笑)その場では気づかず、私は後になって「あー!!」という感じでした。

 

お食事の文化は「郷に入れば郷に従え」

 

なにはともあれ、「お通し」がニッポンの文化ならば、「チップは欧米の文化」。食や外食にまつわるその土地の習慣はなにかしらあるものですし、まさにここは「郷に入れば郷に従え」ではないでしょうか。

 

イタリアなどでもテーブルチャージ(コペルト)が料金に計上されていたりしますし、居酒屋やお寿司屋さんの「お通し」だって「そういうもの」だと思います。

 

個人的には食べるときぐらいそういう細かいことを気にしないで食べたい、飲みたいというのもあります。居酒屋でお通しが来てビールが来て、「これからみんなでワイワイ」の時間が来ると思うとワクワクしますしね。

 

欧米人にとってまだまだ謎が多いSUSHI文化

 

さてお寿司屋さんでのお通しは、以前、連れて行っていただいたお寿司屋さんでお通しに出た「つぶ貝の煮物」と「蕗(フキ)の水煮」が本当においしかったです。カウンターについて早々、絶品のお通しをいただくと、その夜の期待も高まりますね。

 

それにしてもお寿司屋さんにまつわる外国人にとっての「未知の世界」といえば、「お通し」で騒いでいる場合ではないのかもしれません。なにせニッポンには「事前に値段のわからないお寿司屋さん」があるのですから!

 

ただそういった高級寿司屋には外国人観光客がフラッと入るなんていうことはあまりないので、普通の居酒屋さんでも出てくる「お通し」と違って、あまり話題に上がらないのかもしれません。

 

ちなみに筆者は値段のわからない寿司屋さんに関しては、そのお店の常連さんでもある友人に連れて行ってもらったことはありますが、自分が主導で入ったことことはありません。いつかそういう店にフラッと入れるような日は来るのかしら。

 

ところで、欧米のメインの料理はクリーミーなものが多いので、お寿司をお通し、いえ前菜のような扱いをしている欧米人をたまに見かけます。イタリア料理ではメインの前(Primo Piatto)にパスタが出てきたりしますし、欧米人にとっては「メインの前に炭水化物」というのはおかしいことではないのです。しかし!ニッポンでお寿司は「メイン」ですよー!最後に叫んでしまいました。

 

次回の更新は7月上旬頃を予定しております。

 

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サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/