外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?
来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!
ニッポンのワサビ、ドイツのワサビ
先日、回転寿司で「茎わさび かっぱ巻」というちょっと変わったメニューがあったので、頼んでみました。皿を手渡された時に「わさび、気を付けてね」と言われたのですが、確かに見た目からしてわさびが多めですね・・・
そんなわけで、おそるおそるいただいたわけですが、キュウリとワサビの相性がよくて、ハマりました。ただ確かに目の覚めるような辛さではあります(笑)
思えば私の人生における「ワサビ初体験」も約30年前の回転寿司でのことでした。ドイツに住んでいた十代の私は、夏休みには日本に遊びに来ていました。今と違い、当時のドイツに回転寿司はありませんでしたので、日本で訪れた回転寿司にワクワク。そして一緒に行った人に「辛いよ・・・」と注意されながらも、初めてのワサビをそれは勢いよく口にしてしまい、相手の予想通り(?)涙目になったのでした。慣れない味のためか、唐辛子よりもそれは強烈に感じられました。ところで、探してみたら、14歳の夏休みにニッポンで回転寿司に行った時の写真が出てきました。こちらです。なんだか楽しそうですね。
このような「涙目」の話も手伝って(?)巷では「欧米人はニッポンのワサビは食べられない」「欧米人はワサビにびっくりしてしまう」と思われがちで、実際にそれは当たっていたりもするのですが、形はちがうものの、ヨーロッパでもワサビを食べる習慣はあります。はい、いわゆる「西洋わさび」のことです。タイトルに「ドイツのワサビ」とあたかもドイツにしかないワサビだと思わせるような紛らわしい書き方をして、ごめんなさい。
ドイツではMeerrettichと呼ばれるこの西洋わさび、元々は南ヨーロッパや東ヨーロッパのものです。ドイツのRostbratwurst(ニュルンベルガ―焼ソーセージ)にMeerrettichは絶妙ですよ。このように西洋わさびは副食なのですね。
ちなみに西洋わさび風の調味料もドイツにはありまして(日本でわさびがチューブで売られているのと同じですね)、こんな感じのものが売られています。
チューブのザーネ状の西洋わさびを使い、ニシンを塩コショウしネギなどと混ぜて食べる「ニシンのサラダ」もドイツでは食べられていますし、わさびは意外となじみのあるものです。ただ西洋わさびで、ツーンとするような刺激はなく、ハーブっぽい味で少し甘味もあります。まあ全体的に「マイルド」ですね。
ところで私は日本に住み始めてから約20年ですが、先日ようやくニッポンで「根ワサビ」だとか北海道で「山ワサビ」と呼ばれているものが「西洋わさび」だということを知りました。それまでは全く別の種類のワサビだと思い込んでいたのですが、こんなに長いあいだ日本にいるのになんだか恥ずかしいですね。ローストビーフの付け合せとしての山ワサビは私も日本で何回かいただきました。
それにしても思うのは、ニッポンだとやはりワサビも「あっさり」した食べ方がされることが多い(バターなどと混ぜて食べたり、などということをあまりしませんね)ですが、ドイツだと西洋わさびはバターと混ぜてステーキを食べたり、ソースにしたり、西洋わさびのチューブもザーネ状だったりと、どちらかというと「こってり」中心の食べ方が多いということです。
ワサビというと、冒頭の自分の体験も含めて、ニッポンの悲劇とばかり結び付けてしまう私ですが、こうやって考えてみると「ワサビ」は奥深いです。
次回の更新は6月中旬頃を予定しております。
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サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/