NEW『早川光 江戸前寿司の世界~至福のおまかせ編~』赤坂・すし晴 後編

 

《握り7カン目 マグロ背トロ》

背トロとはマグロの背の身の脂がのった部分のこと。親方は“血合いギシ”と呼ばれる、血合いに近い部分の背トロを握ります。

「血合いギシは特に旨みの強いところ。脂の甘みもあるので、マグロの魅力が存分に味わえます」

厚めにたっぷりと切りつけた背トロの脂は、まるで冬のマグロのように上質。口の中でさらりと融け、舌を優しく包みます。

 

 

《握り8カン目 マグロ赤身づけ》

8カン目は同じマグロの赤身。普通なら赤身→トロの順番で握るところですが、それだけ赤身の味に自信があるのでしょう。

「づけにする時間は2分くらい。これが今日の赤身にはベストのタイミングです」

づけのひと手間によってコクが引き出された赤身は、上に乗せたゴマの風味も相まって、中トロを凌ぐ美味しさです。

 

ここで「握りに合うお酒を」ということで、4つ目の日本酒を注文。

親方がちょっと迷いながら選んだのは

宮城県『大沼酒造店』の特別純米辛口原酒『大沼屋』。

蔵出し火入れ1回の辛口の酒です。

「これは辛口なんだけど旨みが強い“辛旨”の酒で、うちの握りに合います」

 

《握り9カン目 キタムラサキウニ軍艦巻》

ここからはおかませのラストスパート。マグロに続いて極上のウニが登場します。青森の人気ブランド『ダイセン』のキタムラサキウニです。

「これは3秒で召し上がって下さい。海苔が乾いているうちに」

言われるまま急いで口に入れると、まず海苔の鮮烈な香りが鼻に抜け、続いてキタムラサキウニの蕩けるような甘みが舌に溢れます。

 

 

《おつまみ12品目 ノドグロ丼》

ウニの次はノドグロ。長崎県対馬産の人気ブランド『紅瞳(べにひとみ)』です。ただしこちらは握りではなく小丼の形で供します。

「ノドグロは生より焼いた方が美味しい。なので丼にしてみました。できればノドグロをほぐして、よくシャリに混ぜてから召し上がって下さい」

箸でほぐしてから食べると、ノドグロの甘い脂がシャリの塩気でさらに引き立ち、まさに痺れるような味わいに。

 

 

《握り10カン目 アナゴ》

親方がたね箱から取り出したアナゴは、普通の寿司屋では滅多に使わないような特大サイズ。

「時期的に小さなアナゴは脂が薄いので、思いきって大きなものを買いました。下処理に手間はかかりますが、脂がのっていて抜群に旨いです」

継ぎ足しながら使い続けているという煮汁で30分、とろとろの柔らかさに煮たアナゴは、握る前に炙ることで食欲をそそる香りを纏います。噛めばエキスがじゅわっと溢れ、すぐにシャリと渾然一体となって、喉の奥に旨みを残して消えていきます。

 

 

《口直し アラ汁》

ここで箸休めの吸い物‥と思いきや、お碗の中身はアラ汁。

それもノドグロとクルマエビの頭から取ったという濃厚な一品。

見た目より温度も高く、飲むと一気に体が温まります。

 

 

《握り11カン目 かんぴょう》

握りのラストを飾るのは、なんとかんぴょう。巻き物にするのではなく、最初のマグロの皮ギシと同じく、握りを海苔の上に乗せて出すという形です。

コハダや玉子焼と共に、江戸前寿司の職人の実力を計るバロメーターとも言われるかんぴょう。親方のそれは、干瓢の実の柔らかい芯の部分だけを使い、醤油とザラメで丁寧に煮含めた、熟練の職人ならではの“本物”の味わい。

 

 

《口直し 玉子焼》

そして本日のおまかせのシメは、口直しの玉子焼。

江戸前寿司伝統のすり身を入れた“厚焼玉子”です。

『すし晴』の玉子焼は、卵にタイのすり身と山芋を加えて焼いたもの。甘さ控えめな上品な味わいは、日本酒とも合います。

 

 

《デザート イチゴ(とちおとめ)》

おまかせを食べ終え、お茶を飲んでひと息ついたところで、親方がさりげなく出したのはひと粒のイチゴ。甘味と酸味のバランスが絶妙な栃木県産のとちおとめです。

 

 

有明の新海苔を使ったマグロの皮ギシで始まり、かんぴょうで終わる「すし晴」のおまかせ。

さっぱりした味わいのスミイカや、寿司屋では珍しい子持ち昆布のフライなどで味の緩急をつけることで、舌を飽きさせない、見事な構成でした。

 

……………

 

《おまかせ》

 

先付け      しじみ出汁(青森県十三湖産)

 

握り  1カン目 マグロの皮ギシ(東京都三宅島産)

 

おつまみ1品目  岩もずく(石川県能登半島産)

2品目  ホタテ貝刺身(北海道野付産)

3品目  ホタテ貝の卵巣と精巣(北海道野付産)

 

日本酒1合「みむろ杉」(奈良県・今西酒造)

 

4品目  メジマグロ刺身(新潟県佐渡島産)

5品目  赤貝のヒモ(大分県産)

6品目  ホタルイカ沖漬け(富山県滑川産)

7品目  ホタルイカ炙り(富山県滑川産)

 

日本酒1合「あたごのまつ」(宮城県・新澤醸造店)

 

8品目  あん肝と奈良漬けの和えもの(北海道余市産)

9品目  カキの胡麻油づけ(三重県新島産)

 

握り  2カン目 コハダ(佐賀県有明産)

3カン目 赤貝(大分県産)

4カン目 カンヌキ(千葉県鴨川産)

5カン目 スミイカ(鹿児島県出水産)

 

おつまみ10品目  太刀魚南蛮漬(千葉県富津産)

おつまみ11品目子持ち昆布(アラスカ産)と若鮎(滋賀県琵琶湖産)のフライ

 

日本酒1合「名もなき酒」(京都府・山本本家)

 

握り  6カン目 クルマエビ(熊本県産)

7カン目 マグロ背トロ(東京都三宅島産)

 

日本酒1合「大沼屋」(宮城県・大沼酒造店)

 

8カン目 マグロ赤身づけ(東京都三宅島産)

9カン目 キタムラサキウニ軍艦巻(青森県産)

 

おつまみ12品目  ノドグロ丼(長崎県対馬産)

 

10カン目 アナゴ(長崎県対馬産)

 

口直し      アラ汁

 

11カン目 かんぴょう(栃木県産)と海苔(佐賀県有明産)

 

口直し      玉子焼

 

デザート     とちおとめ

 

『早川光 江戸前寿司の世界~至福のおまかせ編~』第一回 赤坂・すし晴 完

 

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