NEW『早川光 江戸前寿司の世界』70~師走の第四貫~

北寄貝

炙って旨みと香ばしさを出す

北寄貝はバカ貝科の二枚貝。茨城県以北の太平洋と日本海北部の冷たい海に生息し、北海道や東北では昔から食べられていましたが、江戸前寿司のたねとして使われるようになったのは、流通がよくなった90年代以降と言われています。

「砂地に棲む北寄貝は砂を噛んで(含んで)いることが多いので、買う時には気をつかいます。今日のは仲買さんの選り抜きの中からさらに選んだもの。貝殻を合わせてひとつ500グラムあります。身が厚くて、甘みが強いです」

高岡さんは北寄貝のワタをあえて残し、煮きりをつけて炙ってから握ります。

「臭みが出るからとワタを取る店が多いのですが、貝の鮮度がいいので残してあります。ワタには濃厚な旨みがあり、炙ることで香ばしくなるので、日本酒と合わせるとさらに旨いです」