『早川光 江戸前寿司の世界』67~師走の第一貫~

ミズダコ

噛みしめるほどに甘みが広がる

ミズダコは全長3メートルにも達するという世界最大のタコ。その大きさのわりにしっかり旨みがあり食感も柔らかいので、最近は寿司だねにする店が増えています。阿佐ヶ谷『鮨なんば』の高岡俊輔さんもミズダコを積極的に使うひとりです。

「うちでは煮ダコにするのはマダコ、生を握るのはミズダコと使い分けています。ミズダコのさっぱりした味が好きなので、脂っこい魚の多い冬にはよく握りにします。タコは生だと固いというイメージがあるかと思いますが、ミズダコは柔らかいので活けのままでも大丈夫。さっくりと噛み切れます」

握りに添えるのは、わずかな塩と絞ったすだちのみ。それでも噛みしめるほどに深い旨みが舌に広がります。

「新鮮なうちに食べてほしいので、仕入れたその日か翌日には使い切るようにしています。タコとは思えないフレッシュな食感と味わいに初めて食べた方は驚かれますね」