連載第15回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが “お寿司” にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

受身はダメ!寿司屋の客に「決断力」や「コミュニケーション能力」が求められる理由

 

皆さん、明けましておめでとうございます。

 

旧年中は、あんなところこんなところを食べ歩きましたが、今年2019年も【お寿司】を中心に色々と食べ歩きたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

ここのところ自分の誕生日や色んなお祝い事でいわゆる西洋風のコース料理を何回か続けていただきました。そもそも、ちょっと何かよいことがあったときに、フラッとお寿司屋さんに入ったりと、私は【うれしいこと】が即【おいしいものを食べる】という行動につながるようです。

 

ふとしたときに思ったのは、フランス料理などのいわゆる西洋料理のコースというのは、客はある意味「お店任せ」にしていれば、あとは比較的「受身」でいられるな、ということ。

 

もちろん前菜やメインが選べるようになっている場合、何を選ぶかを客が考えた上で予め店の人に伝える必要はありますが、それはコースがスタートする「前」の話。注文をし、コースが始まったら、あとは何も考えず、連れとの会話を楽しんだり、または料理を味わいながらも、次の料理が出てくるのをただ待っていればいいわけです。

 

そういう意味では、西洋料理の場合、お料理の出てくる「タイミング」、そして「雰囲気作り」に関しても、多くが「お店側」にゆだねられている印象。

 

それに対してニッポンの寿司屋で「寿司を食べる」場合は「客も参加型」です。お寿司屋さんでは、客がどのタイミングで何を頼むか、というのはその都度、客にゆだねられていますので、客が「間」というか、その場の雰囲気作りにも積極的に参加しているのですね。

 

カウンターだと寿司職人さんとの距離も近いですし、客側にもある種のコミュニケーション能力が求められている気がします。【お寿司をいただくその空間を楽しむ】ためには「今日のおススメは何ですか」など【会話を楽しむ能力】も必要なのでした。

 

西洋料理のように最初に前菜はこちら、メインはこちら、と予め決めないため、カウンターで寿司をいただく場合は「自分自身と相談しながら、自分がその都度、何を食べたいのか」を考えなければいけません。タイミングよく、それを寿司職人さんに伝える必要もあるので、お寿司を食べるのは、いってみれば決断の連続です。

 

自分は今日はどんな気分なのか、よって何が食べたいか、というのを自分で考えるのはもちろん、「味の薄いネタが続いたから、そろそろ脂ののったお寿司に移ろうかしら。大トロとサーモンにしようかしら…」とか、「もうそろそろお腹がいっぱいになってきたから、さっぱり梅シソ巻きで〆よう」など最後の最後まで「客中心」で決められるのが、欧米人的な視点から見ると面白いです。

そう考えると、お寿司屋さんでいただくお寿司というのは、客はただ「受身で待つ」のではなく、意外にも客にもある種の「積極性」が求められるのですね。

 

自分で自分のことを知らないと頼めないですし、コミュニケーション能力だって問われます。あ、もちろん外国人に関しては、日本語能力も問われます!・・・よほど英会話に堪能な寿司職人さんがいる場合は別ですけど。

 

カウンターでお寿司をいただくとき、「客も参加型」で客自身も間接的にではありますが、その場の雰囲気を一緒に作っているのですね。外国人をお寿司屋さんに連れて行くとき、こういったことも説明してみると、食を通して文化の比較もできますし、会話に花が咲くに違いありません。

 

次回の更新は1月15日頃を予定しております。

 

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サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/