『早川光 江戸前寿司の世界』59~神無月の第五貫~

タイラ貝

飴色がかっているものが旨い

タイラ貝はその名の通り平らな形をした貝で『タイラギ』とも呼ばれます。貝殻の幅は30センチ前後もあり食用の二枚貝としては大型ですが、江戸前寿司で握るのはひとつしかない貝柱の部分だけ。なので貝の中でもアワビ、ミル貝に並ぶ高級品です。

「貝柱の見た目はホタテに似ていますが、もっと旨みが強い。サクッとした食感の良さもホタテ以上。タイラ貝のよしあしは貝柱の色で見極めます。白いものより飴色がかっている方が味が濃くて旨い。今日のは愛知県三河産ですが、いい色をしています」

タイラ貝はそのまま握るのが一般的ですが、鈴木さんはシャリとの間に小さく切った海苔を挟みます。

「タイラ貝はすべって握りにくいので海苔がストッパーの役割になります。そしてタイラ貝と海苔は味の相性が抜群にいい。もっちりしたタイラ貝に海苔と煮キリが加わると、磯辺焼きのような日本人好みの味になるんです」