『早川光 江戸前寿司の世界』58~神無月の第四貫~

サバの棒寿司

白板昆布の甘さがアクセント

サバの棒寿司というと、関西の押し寿司やバッテラを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は江戸前寿司でも明治時代以前から棒寿司を作っていました。

ただし関西の棒寿司がシャリを押し固めて空気を抜くのに対し、江戸前は巻き簾でふんわりと巻き、空気を残します。そしてサバの酢じめも関西に比べて浅いという違いがあります。

「うちの場合、かなり浅めにしめるので、品質のいいサバを選んで使います。産地は兵庫県の淡路か神奈川県の松輪。どちらも1本釣りのサバで鮮度が抜群にいいんです」

鈴木さんはもうひとつ、サバの大きさも大事だと言います。

「大きいサバは見た目は立派でも脂がない場合が多い。ベストは700〜800グラムくらい。このサイズが一番脂のバランスがよくて、棒寿司に合います」

甘酢に浸した白板昆布を厚く切ったサバの上に乗せるのが『鮨鈴木』のスタイル。白板昆布の優しい甘さがアクセントとなり、秋サバの濃厚な旨みを存分に引き出します。