NEW『早川光 江戸前寿司の世界』56~神無月の第二貫~

《シラカワ》

銀白色に輝く幻のアマダイ

シラカワというのは俗称で、正式な名前はシロアマダイ。日本近海に棲むアマダイの仲間では最も美味とされ、銀白色に輝く神秘的な魚体を持ち、漁獲量が極めて少ないことから“幻のアマダイ”と呼ばれています。ゆえに市場では驚くほど高価で取り引きされ、一尾十万円以上の値がつくことも。

「シラカワは大好きな魚。刺身だけじゃなくて、焼いても蒸しても旨い万能の魚ですよね。寿司だねとしても白身魚の中の最上級。だから『えっ?』という高値でも、思いきって買います」

鈴木さんは、同じアマダイでもシラカワとアカアマダイでは身の質がまったく違うと言います。

「アカアマダイは水分が多い魚なので昆布じめにしたりするんですが、シラカワはその必要がない。しかも寝かすことでどんどん旨みが出てくる。だから生で出しても、お客さんに『これ、昆布じめしてるの?』と聞かれたりします」

シラカワは味わいも独特、普通の白身魚であればまず脂の甘みを感じ、それからじわじわと旨みが伝わるのですが、シラカワは甘みと旨みがいっぺんにやってきます。その旨みはふくよかで余韻が長い。だから握り寿司でも日本酒を合わせたくなってしまいます。