『早川光 江戸前寿司の世界』51~長月の第三貫~

~サンマ~

月ごとに変化する味を楽しむ

日本では秋の味覚の象徴として、万人に愛されているサンマ。ただし江戸前寿司のたねとして使われるようになったのは、刺身でも美味しい新鮮なサンマが空輸で運ばれ、市場に流通するようになった20年ほど前からと言われています。

「サンマは鮮度が命。新鮮なサンマは歯応えがありますし、身に締まりがあるので握りに合いますが、鮮度が落ちるとクセや匂いが出てしまいます」

河野さんはサンマの銀皮と身の赤い色のコントラストを生かすため、鹿の子(格子状)に包丁を入れてから握ります。

「今はこの形ですが、もっと脂がのってきて赤身がなくなってきたら、皮目を炙って肝を乗せてお出しします。うちでは8月から10月まで使いますが、時期によって味わいが変化するのも、サンマの魅力のひとつだと思います」

9月のサンマは脂の甘みと赤身のコクのバランスが抜群。添えられた薬味のネギとニンニクの香りが食欲をそそります。