『早川光 江戸前寿司の世界』49~長月の第一貫~

~イクラ~

熱湯にさらして食感を引き出す

イクラとはサケの筋子の膜を取り除き、ひと粒ずつをばらしたもの。大正時代にロシアから製法が伝えられ、日本に広まったと言われています。

筋子は加熱すると色が変化してしまうため、膜を取り除く時はぬるま湯を使うのが普通ですが、目黒『鮨りんだ』の親方・河野勇太さんは、まず75度Cの熱湯にさらしてから、水洗いをします。

「熱湯を使うのは、その方が仕上がりの食感がよくなるからです。75度というのがポイントで、この温度なら最初は熱で白っぽくなっても、しばらく置くと元通りの色に戻るし、味も変わりません」

丁寧にばらしてから特製のだしに2日間ほど漬け込んで味を含ませたイクラは、口に入れた瞬間にプチンと皮が弾け、旨みたっぷりのエキスが舌の上にじゅわっと溢れます。

「今の時期のイクラは、まるで卵の黄身のような濃厚な味わいがするので、それを生かすように心がけています」