連載第4回 サンドラ・ヘフェリンの醤油二度づけ禁止令~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが“お寿司”にまつわる「あんなことやこんなこと」について、語ります!

 

未知なる魚のお話@不思議の国ニッポン

 

一昔前とは違い、ニッポンのお寿司はここ数年、世界的ブームとなっています。外国にいながらも「お寿司が好き」という人はずいぶん増えました。

 

しかし私の母国ドイツのように海がほとんどなく、国のほとんどが内陸部である国では、当然ながら日本のように、地元でとれた新鮮な魚を食べることはできません。「地魚をいただく」のは海に囲まれたニッポンならではの贅沢なのですね。

 

そんなこんなで「寿司ブーム」ではあるものの、海のない南ドイツはミュンヘンではスーパーマーケットで売られているお寿司も、お寿司屋さんで見かけるお寿司も、やっぱりというか「かっぱ巻き」や「アボカド巻き」が多く、「サーモン」や「まぐろ」は見かけても、ウニやエンガワのようなネタはほぼ皆無です。「ヨーロッパにもお寿司はある」とはいっても日本国内のようなネタの多さ(豊富さ)は夢のまた夢。

 

そして、日本にやってくる外国人観光客は当然「ニッポン本場のお寿司を食べたい」と意気込むわけです。私も日本にやってきたドイツ人の友達数人とお寿司を食べに行きました。ゾロゾロと連れだっていわゆる「回るお寿司」に行ったのですが、ここで便利なのは、

①目の前でお寿司がぐるぐる回っているため、いわば「現物」が見えること 

②メニューに「写真」もたくさん載っているため、わかりやすいこと、です。

よって、日本語が分からなくても、何の問題もない・・・はずでした。

 

 

でも、けっきょく現物を見ても気が済まず、みなさん「あれは何ていう名前の魚?」と知りたがります。でも例えば「これはUni(ウニ)」と日本語の名称だけを言うのでは、分かってもらえないので、この「Uni(ウニ)」のドイツ語訳を彼らは知りたいわけです。が、はっきり言うと、ウニやエンガワなどのドイツ語がパッと出てくるドイツ人というのは、魚の研究をしている人だけだと思われます。ある意味、専門用語のようなものですね。

 

かくいう私も「これは何?」とエンガワを指された時に、パッと「エンガワ」のドイツ語が出てきませんでした。でもこちらが答えに詰まると、当然彼らも不安がってそのネタは食べてくれない可能性が高いので、色んなニッポンのものを食べてもらいたい私としてはもどかしかったです。一瞬、ニッポンの寿司ネタに使われる魚のドイツ語訳を全部暗記してしまおうかと頭をよぎりましたが・・・最近はSushi Lexikon(スシ辞書) に自分のタブレットや携帯からアクセスできるようにすることで問題解決を試みました。これでお寿司屋さんで魚のドイツ語訳を聞かれても問題ナシ!・・・のはずでした。

 

でもここへ来て新たな問題が発生することに。

 

彼らに、この辞書に載っているドイツ語訳を見せても、そのドイツ語の魚の名前は、普段ドイツの日常生活でほとんど使われていない言葉であるため、彼らはその言葉を聞いてもピンと来ないわけです。そして、新たに「それで、それはどんな魚なの??」と聞いてくるのでした。

 

そして彼らの質問はそう簡単には終わりを見ないのでした。目の前で回っているウニの現物を目にし、辞書でウニのドイツ語訳(ちなみにSeeigel)を目にしても、さらにはウニの原型を写真で見ても、「でもそれはどんなものなの・・・?」と謎は深まるばかりのよう。

「『どんなものなのか』は、今あなたの前で回っているものをサッと食べてみることで、真相解明に一歩近づくと思うんだけどなあ…?」なんて思うのでした。でも未知の食べ物を前に、人間、やっぱり色々と不安になるのも分かりますけどね。好奇心はあるものの、魚介類になじみがないので、それらを前にすると「とりあえず食べてみよう」となるまでのハードルが高いこと、高いこと!ここは「案ずるより産むが易し」という素晴らしきニッポンのことわざを教えてあげたいところですが、なんだか話がややこしくなりそうなので「とりあえず食べてみてくださいね!」と笑顔を作る私なのでした。

 

ちなみにその「回転寿司の」に行った晩、友達は全員「いくら」が気に入ったようです。新しいことにトライすると、好きなものが増えますね。

 

次回の更新は8月上旬を予定しております。

 

 

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第1回

第2回

第3回

サンドラ・ヘフェリン 

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/