『早川光 江戸前寿司の世界』28~皐月の第四貫~

~毛ガニ~

ほぐし身の握りを海苔に乗せて

毛ガニはズワイガニと人気を二分する、日本の美味なるカニの代表。日本海沿岸でも獲れるのですが、特に人気が高いのはオホーツク海などの北海道産です。

「これは噴火湾で獲れた毛ガニ。今は走りというところですが、これから夏にかけてどんどん美味しくなります。うちでは旨みが逃げないように、茹でるのではなく蒸してから、丁寧に身をほぐして握りにします」

『鮨 由う』ではなんと、軍艦巻でも手巻きでもなく、握りを海苔の上に乗せて供します。

「これは“こんとび”という香りのいい海苔で、毛ガニとは相性がいいんです。握りを上に乗せるのは海苔がしける前に食べてほしいから。いろいろ試しましたが、この形がベストだと思います」

ほぐし身には脚や胴の身だけでなくカニミソも入っていて、濃厚な風味。それが海苔の香りとひとつになることで、えも言われぬ芳醇な味わいへと昇華します。