新連載第2回 サンドラ・ヘフェリンの 醤油二度づけ禁止令 ~外国人をお寿司屋さんにつれて行こう~

外国人が“お寿司”を食べる際に生じるハプニングとは…?

来日20年、ドイツと日本のハーフであるコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンが“お寿司”にまつわる「あんなことやこんなこと」について、前回に引き続き語ります!

 

―後編―

 

【甘い飲み物はひかえるべし】

ヨーロッパを含め世界各国のスーパーマーケットなどで「砂糖入りの緑茶」を販売していることから、緑茶=砂糖を入れて飲むもの、だと信じている人もまだいます。

 

ところで以前ドイツのテレビ局の人達が来日した際に、お寿司屋さんで撮影をしましたが、ドイツ人スタッフの一人がカウンターに着席後に緑茶を一口飲んでから、「ジャスミンティーが飲みたい!」と言ったときはちょっぴり残念な気持ちになってしまいました。もちろんお寿司にジャスミンティーを合わせるのは罪ではないですけど・・・(以下自粛)。

緑茶に関しては、当たり前ですけどニッポン本場の緑茶に「砂糖」なるものは入っていません。が、お寿司屋さんで一部の観光客からは「お砂糖はないの?」とか「抹茶ラテはないの?」という要望が出たりします。

抹茶ラテに関しては現在世界中で流行っていますので、日本に来るといつでもどこでも抹茶ラテを頼みたくなるようなのです。そして「緑茶に砂糖」に関しては、やっぱり欧州では「お茶=紅茶=砂糖を入れてクッキーなどと一緒に食べるもの」というイメージがインプットされているので、お茶を出されると即条件反射のように「砂糖は?」となってしまうのだと想像します。

そんな時は過剰にびっくりせずに、きっちり【寿司の食文化は寿司が中心】だということを説明したいものです。つまりは寿司を美味しくいただくには、寿司以外のあれこれ(たとえば甘い飲み物)は不要であること、緑茶やほうじ茶が一番【寿司の味を邪魔しない】こと説明しましょう。もし、砂糖ナシの緑茶やほうじ茶を当たり前のように飲んでいる外国人観光客がいたら、その人はニッポンの寿司文化について、かなり深いところまで分かっている人かもしれません。

 

【食べ終えたエビの尻尾の行先は?

こちらは意外と盲点かもしれませんが、寿司ネタとしてかかせないエビには鮮やかな赤い色をした尻尾がついていることが多いです。この尻尾、無理してそのまま食べなくてよいものなのですが、一部の観光客はその尻尾をそのまま床に落としてしまうのだとか。尻尾は飲み物の器の中に入れたりお手拭で包んだりせず、そのままお寿司を置いてあったところに戻して問題ないです。お醤油のお皿では次のお寿司を食べるとき邪魔になりますし、見えるところに置いておけば店員さんが下げて(片付けて)くれます。マナーは人の迷惑にならないようにすることが第一なので、わからなかったら、店員さんに聞くのが一番かもしれません。

【香水は我慢すべし】

香水に関する考え方は日本と欧米ではかなり違いますから、頭ごなしに香水そのものを悪く言ったり、「香水のような甘い匂いはそもそもダメ!」というような言い方はしないほうが良いかもしれません。ヨーロッパでは香水をつけるのは生活の一部ですし、それぞれに自分の選ぶ香りに誇りを持っているからです。

けれども、【ニッポンでのお寿司屋さんに香水をつけていくことは日本のマナー上はタブーであること】はハッキリ伝えましょう。もし理由を聞かれたら、香水は思ったより強い香りなので、魚の匂いと交れば・・・と説明すれば最終的には分かってくれることが多いです。

筆者はお寿司屋さんでの最大の失敗は香水をつけて入店することだと思っていますので(ほかのお箸などの失敗と比べて、香水は他のお客さんに迷惑がかかるので・・・)、来日した外国人の友達と一緒にお寿司屋さんへ行くことになる場合、「ニッポンの香水事情」について話すと、相手に反発されることもありますが事前に説明しております。

【まとめ】

SUSHIとニッポンのマナーにおいては「それは日本ではマナー違反!」と直球で言うのもアリだとは思いますが、その「背景」について説明できれば相手もより分かりやすいです。そして教える側として心得たいのは、マナーとは奥深いものなので、マナーにおけるニッポンの全てを説明するのは時間的にもエネルギー的にも難しいということ。マナー違反をゼロにしたい気持ちは分かりますが、残念ながら追及し過ぎるとキリがない部分もありますので、とりあえずの目標は「外国人観光客にできる限りマナーだけでなく文化の側面も理解してもらおう」としたいところです。オリンピックまでに、【お寿司】とともに【お寿司にまつわるニッポンのマナー】も世界に浸透するといいですね!

 

第3回はこちら。

第1回はこちら。

 

サンドラ・ヘフェリン 

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、日本とドイツを比べながら「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了との共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)など計12冊。ホームページは 「ハーフを考えよう!」 http://half-sandra.com/